建築パース制作、従来の手法とAIを比較:実際どれだけ時間がかかる?

建築家は高価で複雑なソフトで、パース1枚に数時間から数日を費やしています。全工程を振り返り、時間とコストを検証します。

建築パース制作、従来の手法とAIを比較:実際どれだけ時間がかかる?

フォトリアルなパースを1枚仕上げるには、建築家やCGパース制作会社でも何時間もかかり、ときには数日を要します。その時間の大半は設計の判断ではなく、モデリング、マテリアル、ライティング、レンダリングといった技術的な制作作業に使われています。この記事では、従来のワークフローを順を追って解説し、どこに時間がかかっているのか、そしてAIツールが役立つ場面と役立たない場面を説明します。

従来のパース制作の流れ

多くの設計事務所では、3ds Max、SketchUp、Revit、Rhinoなどの専門的な3Dソフトと、V-Ray、Corona、Enscape、Lumionなどのレンダリングエンジンを使ってパースを制作します。一般的な工程は次のとおりです。

  1. 3Dモデリング 壁、屋根、開口部、地形、主要な家具など、住宅のモデルを作ります。一般的な戸建て住宅でも数時間かかることが多く、図面に変更があればさらに時間がかかります。
  2. マテリアルとテクスチャ 塗り壁、木、石、ガラス、金属など、すべての面にリアルな素材を設定し、反射や粗さを調整します。
  3. ライティングとカメラ 太陽の位置、空、人工照明、そしてデザインを最もよく見せるカメラアングルを設定します。
  4. レンダリング コンピューターが最終画像を計算します。高性能なワークステーションでも、解像度や品質によって1枚あたり数分から数時間かかります。
  5. レタッチ(後処理) Photoshopなどで色やコントラストを調整し、人物、植栽、空を加えます。
  6. 修正 外壁材を変えたい、窓の位置をずらしたいなど、施主からの修正依頼があるたびに前の工程に戻ることになります。

時間は実際どこにかかっているのか

時間は多くの細かい技術作業に分散しており、修正のたびに膨らみます。施主の修正が3回あるプロジェクトでは、最初のバージョンよりも長くかかることも珍しくありません。正確な数字は事務所、ソフト、ハードウェア、求められる精度によって大きく異なるため、ひとつの数字で示すと誤解を招きます。それでも、ほとんどの事務所でレンダリングはデザイン提案の中で最も時間のかかる作業のひとつです。

  • モデリングと、設計変更に伴う再モデリング
  • マテリアルの検索と調整
  • テストレンダリングと本番レンダリングの待ち時間
  • レタッチでの細かな修正
  • 施主との何度ものやり取り

かかるコスト

コストは3つに分けられます。ソフトのライセンス、レンダリングに耐える高性能なパソコン、そして熟練した担当者の作業時間です。パースを外注する事務所は、1枚ごと、またはパッケージ単位でCGパース制作会社に料金を支払います。小規模なプロジェクトや設計の初期段階では、こうしたコストのために、施主が目にするのはプロセスの終盤に1〜2枚だけということもよくあります。

AIでワークフローはどう変わるか

生成AIツールを使えば、完全な3Dモデルを作らなくても、写真やスケッチ、間取り図からリアルな画像を短時間で作れます。これによりパースを使うタイミングが変わります。最後に高価な画像を1枚出すのではなく、早い段階でいくつもの方向性を示し、施主とテイストを決めてから、詳細な作業に時間をかけられるのです。

工程従来のワークフローAIを活用したワークフロー
初期のコンセプト画像時間がかかるため省略されがち写真や間取り図から複数案をすばやく作成
テイストや素材の検討案ごとに新たなレンダリングが必要複数案をすばやく生成して比較
正確な形状と寸法モデルに基づき正確おおよそ — 確認が必要
実施設計図CAD/BIMで作成代わりにはならない
最終的な販促用画像細部まで高度にコントロール可能多くの用途に十分。複雑な案件では3Dが必要な場合も

AIの限界

  • AIは窓の数や屋根の勾配など細かい部分を変えてしまうことがあるため、結果は必ず図面と照らし合わせて確認する必要があります。
  • 実施設計図、構造計算書、建築確認申請の書類は作成できません。
  • 非常に大規模または複雑なプロジェクトでは、いまでも完全な3Dモデルが最も細かくコントロールできます。

最もメリットがあるのは誰か

中小規模の設計事務所、独立した建築家やデザイナー、そして初期の意思決定や販促のために画像が必要な工務店やデベロッパーが最もメリットを得られます。社内にパース制作チームを持つことはまれだからです。住宅の施主も、専門家に会う前に自分の希望を伝える手段としてAI画像を活用できます。

AIを活用した現実的なワークフロー(ステップごと)

  1. 素材を集める 現場写真、スケッチ、間取り図、簡単なボリュームモデルなど、プロジェクトですでにあるものなら何でも構いません。
  2. 案を生成する テイスト、素材、色について複数の方向性を作り、弱い案はすぐに外します。
  3. 施主と一緒に検討する 2〜3案を見せ、詳細な作業に入る前に方向性を合意します。
  4. 図面と照らし合わせる 選んだ画像を図面と比較します。開口部、屋根、高さ、プロポーションを確認しましょう。
  5. 必要な部分だけ詳細化する 選んだ方向性についてだけ3Dモデルを作るか、AI画像で目的を果たせるならそれを仕上げます。

ワークフローを変える前に考えたいこと

  • いまのプロジェクトで、レンダリングに最も時間がかかっているのはどの段階か?
  • 施主から修正を求められることが多いのはどこか?
  • 正確な寸法に合わせる必要がある画像と、検討用で十分な画像はどれか?
  • 新しいツールと確認作業を事務所の誰が担当するのか?

これらの問いに答えてみると、たいていはAIがプロジェクトの初期段階に最も適しており、既存の3DツールやCADは終盤に欠かせないことがわかります。目的はスキルを置き換えることではなく、熟練者の時間を繰り返しの制作作業ではなく設計に使うことです。

ご自身のプロジェクトで試してみましょう 写真や間取り図をアップロードすれば、数分でデザインのリアルなパースが見られます。